脚の付け根(そけい部)が痛い「検査結果は異常なしだけど痛みがひかなかった。運動できるようになれて楽しい」

患者さま

Y.I 様(女性/56歳)東大阪市石切在住
職業:歯科衛生士
症状:腰痛、左右の脚の付け根(鼠蹊部)の痛み  

ご来院時の症状

仕事中の体勢が不自然なために、ときどき疲労が溜まってくると左腰部に違和感を感じていましたし、冬の寒い朝など起床時に左右の脚の付け根(鼠蹊部)にコワバリを覚えることがあったとのことです。

週に2~3回くらい趣味でバドミントンをされていて、2か月前にハードな練習をこなした後から左右両側の脚の付け根(鼠蹊部)に違和感を覚え翌朝には疼痛を継続して発症してきました。
数日の間にある程度疼痛は軽減しましたが、その後も脚の付け根の症状は継続して残存しており、腰部にも動き始める時に痛み(初期動作痛)があるとのことでした。

今までは痛みが出ても1〜2日でおさまっていたのに、この度は発症している場所はいつもと同じだけれども症状の程度が強くしつこいために、近所の病院でレントゲン検査を受けた結果異常が無いと言われたそうです。  

主な症状をまとめると、次の通りです。
・安静時からの動き始めの際の痛み(初期動作痛)や長時間前かがみの際の腰部全体(特に左腰筋)に違和感と重痛さ(鈍痛)
・左右両側の足の付け根(鼠蹊部)に力を入れると痛む、寒い朝の起床時に痛む、初期動作痛 ・疲れると目の奥が痛くなる
・バドミントンの練習の後に右肩峰下など、および手関節が痛む  

同じバドミントンクラブチームのメンバーの方が当院に通院されていたので、ご紹介で来院されました。  

検査結果

・骨盤と腰~背中~首まで背骨全体をよじるズレ(関節の可動域減少)が存在しました。
・背中の下の辺り~骨盤の骨の整列が崩れているために、その周囲の骨の間から腰やお腹、おしりや太ももの筋肉や血管に走っている神経の流れが滞って、それら組織の緊張が亢進しています。
・肩甲骨と肋骨の可動性も減少しているために、上肢機能時に回旋筋腱板に大きなストレスがかかっています。
・首や背中の骨にもズレがあるために、やはりこの周囲の骨の並びが悪いために神経の流れが滞りがち

になり、筋肉の疲労は溜まり血行も滞り上肢全体に緊張が強くなっています

また、このような状態では筋肉はしっかり働けなくなるので、スポーツのような大きな負荷がかかると関節を痛めたりします。
・胸椎と肩甲骨と右肩の可動性は減少しています。
・遠位橈尺関節は動揺性亢進しています。
・首がよじれて緊張が強いと、脳に血液を運ぶ椎骨動脈などの血行が滞っています。
この状態では、顔や頭に大抵の症状が発症してもおかしくないと思われます。

背骨の土台部分である骨盤の左右両側にある仙腸関節は、その関節面の形状がほぼ平面であることと縦方向の関節であることから、非常にズレ易いという特徴があります。

この患者さまは、職業柄どうしても不自然な体勢で長時間過ごすことが多いので、骨盤は必然的にズレてしまいます。
案の定、右の腸骨と左の仙骨がズレていました。  
骨盤がズレて傾くと背骨も傾きます。
しかし、そのまま身体が傾いたままだと倒れてしまうのでバランスを取るために、上半身は反対側に身体をよじっていきます。
そうして、骨盤から始まった骨のズレは全身に拡散して、各々のズレの周囲から出ている神経の流れが滞って、血行が悪くなり疲労が取れずに症状を発症します。
内蔵の機能や免疫力も低下します。  

また通常は、骨の調整をした後にそのズレが戻らないように日常生活の姿勢に関して1点だけ注意を促しております。

ただ、この方のように職業的に不自然な体勢を取らざるを得ない方は、どうしても何もしないと骨は再度ズレてしまいます。
ですからこのような方は一旦症状が消失した後、頻繁にではなくても良いので定期的に身体のメンテナンスとして、1カ月に1~2回程度の骨格骨盤矯正を行うことをおススメしています。  

経過

1回目: 骨盤の調整からはじめて、背中〜首へと調整を進めていきます。
調整をして骨の並びが良くなると神経の流れが良くなり血行も良くなっていくために、筋肉の緊張も緩解しやすい状態になります。

そうしておいてから、緩和操作で更に緊張の改善を図ります。


2回目: 引き続き、骨盤から全身へと調整を始めていきます。 緩和操作で緊張を更に改善していきます。
自宅でも緊張が再発しないように、ストレッチの指導と説明を行います。
またズレが戻らないように、日常生活の姿勢について説明させていただきます。


3回目: 全身の調整と緩和操作を施していきます。
頭蓋骨や橈尺関節の調整を施します。

朝の起床時に呈していた鼠蹊部の症状は消失しています。


4回目: 更に調整と緩和操作を施します。

日常生活での症状は大幅に改善されたものの、バドミントンの練習などの翌日には症状がいまだ増大します。

それでもストレッチをすることによって、疲労が回復して症状は改善するようになってきています。


5回目: 骨盤から全身の調整と緩和操作を施します。
頭蓋骨や橈尺関節などの局所的な調整も施し、やはり周囲の緊張も緩和操作を行います。

鼠蹊部の痛みは、消失しています。
右上肢や目の奥の痛みも再発していません。  

戻りやすかった骨のズレは安定しつつありますが、この方の場合仕事中に止むを得ず不自然な体勢をとってしまうことによってある程度はズレが戻ってしまうので、体調管理としてのメンテナンスを定期的に行うことをオススメします(^○^)  

院長コメント

どんな方にも多少は姿勢のクセや骨のズレはみとめられますが、症状を発症するまでにはそれなりに長い期間を経て、徐々にズレの程度が進行しています。

そしてある程度までズレが進行すると、あとはほんの少しのキッカケで症状を発症します。
それも様々な症状となってくることが、よくあります。

このような状況を“バケツに水がたまっていって、ある程度たまると今度は水が溢れ出してしまう”現象に例えることができるでしょう。
水が骨のズレであり体の緊張で、これがあらゆる方向に溢れるように、いろいろあちこちに症状が発症します。  

また日常生活でほんの少しだけ姿勢に注意してストレッチなども習慣にしていると、骨のズレが戻らないようになって、身体の状態はかなり安定してきます。

ただし、このケースの方のように(私どもの仕事も身体をよじっていますが…)仕事の体勢が身体を歪めてしまう場合は、どうしても定期的な調整をする必要があります。


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